073476 ランダム
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うさぎ小屋 1番館

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ランダムウォーク

ランダムウォークと行動ファインナンス理論について

★『ランダム・ウォーク理論』とは、市場における価格変動(特に短期の場合)は、上がるも下がるも50%で限りなくランダムだという理論。
簡単にいうと、特に短期間の株価などの値動きは予測が不可能で、テクニカル分析はオカルトだと言っている。
別の言い方だと、中長期でのファンダメンダル分析だけが有効で、短期での予測は不可能なので博打だと批判している。

条件1:「効率的市場仮説」という論理がありこれは、あらゆる情報は一瞬にして織り込まれるという仮説です。
    あるニュースが発表されたら、それは瞬時に相場に織り込まれてしまうということです。
    また情報コストはゼロで、瞬時に全ての投資家が同時に情報を知るという前提だが、そんな訳ない。
    言い訳としては、影響力のある大口が瞬時に情報を知れば、影響力の低い小口が知っていなくても理論に問題は無いとの事。

条件2:取引コストはゼロという仮定である。実際ゼロな訳は無いが、限りなく安いので無視して問題ないとの解釈らしい。

条件3:全ての人間は金銭的利益を最大化するよう行動する。冷徹なマシーンの様に全投資家は機械的かつ合理的に行動しているとの前提だが、そんな訳ない。
    言い訳としては、影響力のある大口がそのように行動していれば、影響力の低い小口が個々にバラバラな行動をしても打消し合い、結局問題はないとの事。   

・ランダムウォークの欠点 ランダムウォークと現実の相場の相違
ファットテール現象
実際の相場の変動は正規分布に近い。しかし細かく見てみると、わずかに上昇する頻度が多く、大幅に価格変動(特に下落)する頻度も多い。
この現実の相場の分布をファットテール現象という。わずかに上昇する頻度が多い理由は、多くの投資家は最初に「買い」から始め、
次に「売り」という行動にでるため、「買い」と「売り」が対等ではないからだと言われている。大幅な価格変動が起きたときに投資家はパニックを起こし、
価格変動はさらに増幅されるという説明がされる。

市場の効率化のプロセス
市場が非効率な場合、合理的投資家が參入してくる。高いリターンを上げる合理的投資家が勢力を拡大し、
非効率な部分が少なくなるので合理的投資家の収益は低下する。やがて高度な分析体制が維持できなくなり、インデックスファンドなどのパッシブ運用に資金が流れ、
合理的投資家が撤退してゆく。合理的な勢力が衰えると市場の非効率性が拡大してゆき、やがて合理的投資家が再び參入する。

例:1
エクセルで、株価¥100からスタートで、50%は+1で50%-1というのをランダムで複数回(例えば1000回とか)の式を作る。
そのデータを使って、ローソク足で作図するとなんと・・・株価チャートそっくりな物が出来上がる。
上昇トレンドや、下降トレンド、レンジ(ボックス相場)の様な形も普通にできる。
上がるも下がるも50%とはいえ、かなり偏りが出来る為だ。
確率の収束は無限回数の施行をすれば限りなく50%に近づく。(実際は無限とは言わなくても、かなりの回数やればだいたい近づくらしいが)
つまりは、コンピューターで本当にランダムにやっても、現実の株価チャートとかなり近い動きをするじゃねーか・・・という訳だ。

例:2
サイコロ3個を同時に振ってその合計を複数回(例えば1000回とか)やってデータを取る。
合計数は当然3~18のどれかになる。
このデータを元に図表にすると、横座標が3~18の合計数、縦座標がそれぞれになった%で作図する。
合計3or18になる組合わせは1通りずつなので当然%が同等に一番低く、合計10or11が多い。
その図は釣鐘型になり、そういうのを確率の正規分布という。
完全にランダムに、そして限りなく多くの回数をこなすと確率の収束から、だいたい正規分布になるという。
現実の株価などもこういう図表にすると、限りなく正規分布に近い形になるので、ランダムウォーク理論が正しいという意見がある。

※ただし完全には正規分布にはならないらしい→完全な正規分布ではないが、ほぼ正規分布である以上はランダムウォーク理論は無視できない。

※平均株価は10年単位くらいで見ると、上下動を繰り返しながらも全体では徐々に上昇している。
完全なランダムウォークというなら、長い目で見ると徐々に上昇している時点で矛盾があるだろと反論もあるが、
株価に関してはもともと完全なゼロサムゲームではないという解釈なので、金融ランダムウォーク理論としては矛盾が無いという事らしい。
(ゼロサムゲームとは、勝ってる人と負けてる人の合計がゼロになる事。株は企業の収益成長で資本が増える場合があるので中長期的にはゼロサムではない)

※FXに関しては、2国間それぞれの通貨価値が変動しているので、基本的には長期でもゼロサムゲームと言えるが、スワップ・ポイント(金利差)が
ある為に一概には言えないのかもしれない。ただし金利は常に変動する可能性があり、逆転することもありえる。


★『行動ファイナンス理論』とは、人々は常に合理的に行動するとは限らない、という前提に立って経済のあらゆる現象や金融市場の動きを考えてゆく
投資家の群衆の心理的な理論です。

簡単に言うと、株価などが上がり続けていると遅れてでもそれに乗ろうとする人がいて、結果的により上昇トレンドが継続する場合がある。(バブル期が良い例)
または、その逆にある程度下がってくると不安になって多くの人が売りだす→急激に下がる→すぐに損切り出来ない人は塩漬けするが限界がきたら狼狽売り→
→結果的に下降トレンドが継続しやすい(バブル崩壊後や世界恐慌時がわかりやすい)

また人は自分がよく知ってる事や、興味がある事などに投資対象となりやすく、自分に有利な希望的観測を持ちやすい事から、独自のこだわり(偏見)を持って
必ずしも合理的な判断を下せているとは限らない場合が多い。

さらに理想論的にはリスクを少なくして利益を大きく(損小利大)を目指すはずが、
損が出ると塩漬けしたりナンピンしたりするのに、利益が出てる時は少なくてもすぐに利確してしまう(損大利小)傾向の投資家が多い。
また、資産管理に関するルールを確立出来ていない場合や、ルールはあるがメンタル面の弱さでルールを無視してしまう場合もある。

メンタル面でいえば、連敗や大敗から頭に血が昇り、無謀なポジション(枚数)やタイミングでリベンジ・トレードをやったり、
あるいはビビってしまって、適切なチャンスさえも見逃してしまったり、
逆に連勝続きで調子に乗ってしまい、甘いタイミングで無茶な仕掛けでしくじり、大きなダメージを受けるなど。

各個人が単にバラバラに行動しているだけなら、それぞれの動きで相殺されてやはりランダムウォークになっていくが、
一定の方向に偏った時に、完全にランダムな動きよりも偏った動きになる訳だ。


★結論
1:株価などの動きは(特に短期になるほど)限りなくランダムに近い動きをする。
2:しかし投資家の群衆の心理が働き、トレンドがランダムよりも継続する傾向がある。
3:上昇は比較的ゆるやかで、下降は早い傾向がある。

市場は完全にランダムで全ての参加者が、全ての最新情報を瞬時に共有しており、完璧に合理的という訳ではない。
完全にランダムならば、勝者と敗者は半々・・・手数料でやや敗者が多いくらいになるはずだが、現実は8割敗者と言われる。
よって、ランダムウォーク理論はだいたい正しいと言えるが、市場には歪み(隙間・偏り)があり、それを突いた戦略は考えられる。
ほぼゼロサムゲーム構造の市場では、8割の敗者の損失は、2割の勝者に利益となっている事を踏まえるとかなり重大なことが見えてくるだろう。


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